てんかん発作(けいれん発作)の予兆(jive宇都宮)
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記事を書く前に、同じテーマでクロロ96さんが何を書いていたのか、読んでみた。(⇒クロロ96さんの記事)
その当時から、ふたりで話していたことだけれど、改めて「似てるなぁ」と思った。クロロさんの場合は、目から右半身がけいれんしていたみたいだけど、僕の場合は、口から、左半身がけいれんし始める。その部分を置き替えれば、クロロさんの書いていることと、僕が体験していることは、ほとんど、同じであるように感じる。
『脳腫瘍の方は少なからず発作に怯えて暮らしているのです』
というクロロさんの言葉を読んで、「少なからず」という言葉の使い方が、クロロさんらしいなぁ、と懐かしく思った。
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てんかん発作の「予兆」を言葉で表現するのは難しい。
頭の中が一瞬固まって、空気というか、自分を取り巻く「圧力」が変わったように感じる。
けいれん発作が拡大するまでに時間があれば、安全な場所に退避して横になる。夢の中で予兆を感じたときは、けいれんで目が覚める。
すぐに意識を失う発作も体験したことがあるけれど、思い出してみると、やっぱり、発生の瞬間に、頭の周りの空気が歪んだような記憶がある。
経験から学んだことだけれど、僕の場合は、その最初の一撃の強弱で、その後の発作の程度が、だいたい分かる。分かったところで仕方が無いことだけれど、けいれんが広がるまで時間があれば、頭を打たないような場所に逃げることができるし、何より、「心の準備」を整えることができる。
ぐっすり眠っているときは、安心してしまっているので、突然起きた発作に対して、気持ちの準備が追い付かない。パニックになると、発作はどんどん拡大するので、落ち着いていたほうが良いのだけれど、心構えの無い所に、急なパンチを喰らうと、動揺してしまう。
一気に意識を失うときは、どうしようもない。そのまま倒れる。今のところ、立っている状態で、いきなり意識を失ったことはないので、けがをしたことは無い。
僕は、「予兆」とか「前兆」を、もっと長い時間で捉えようとしている。日常の生活の中で、異変が生じたら、メモをとり、あとで発作が起こった時に、結果として「いったいどのあたりから、調子がおかしくなっていたのか」を分析する。
今のところ分かっている「危険信号」は、いくつかある。
「目の下が赤くなる。」「左腕が赤くなる」「文字が読みづらくなる」「言葉が出にくくなる」「人と目を合わせるのがつらくなる」「人の話を聴くのがつらくなる」「左手に持っているものを落とす」「急に思考が切れる」などである。
目を何回もこすっていたり、目から生じる肩こりをほぐすために、何回も肩に手をやる自分に気づくと、「あ、要注意だ」と思う。
一番良くないのは、ストレスだといういことは、理解している。発作や病気のことについてあまり考えすぎないほうがいい、ということも分かっている。
でも、今の僕にはストレスを解消する手段が無い。運動、会話、食事、睡眠、思考、感情表現など、すべてが、発作に通じている。
安心できる場所は、どこにも無い。クロロさんとよく話していたのだけれど、僕らは、頭に、発作という名の銃をつきつけられて生きているのも同然だと思う。
今、こうして文章を書いている最中も、僕は、発作が怖くて、何度も口に手をやってしまう。
クロロさんは、体調を崩す前に、
『jiveくんさー、俺、発作を起こさない方法を身につけたよー』
と、言っていた。クロロさんは、いつも、感情を抑えて話していた。ややこしいことには、できるだけ、取り組まないようにしていた。
僕は、今も、相変わらず、無茶をして、毎日のように発作を起こし、そして、ときどき、強い発作を喰らって、心身ともにダウンしている。
勇気が欲しい。
発作のことも、病気のことも、ストレスのことも、僕には、もう、どうしようもできない。
でも、発作のひとつの要因である「恐怖」を取り除くことはできると思う。勇気があればいい。
この記事を書くのも、正直、怖かった。コンピュータの画面を遠くに感じた。
書きたいことはたくさんあるけれど、それを実行に移すためには、脳を使う必要がある。危ない橋を渡ること、そして、たまには、落っこちてしまうことを覚悟しなくてはいけない。
それでも、僕は、書きたいと思うから、書いている。少しでも現実にしがみついていたいから、アルバイトもしている。
『何かを伝えたいんだ。』というクロロさんの言葉が忘れられないから、ホームページも更新しているし、講演活動もしている。
僕に、必要なのは、勇気だけだ。
次の瞬間、「予兆」が訪れ、目の前が歪み、発作が始まっても、必ず、元通り、「戻って」来るために、そして、大切な人たちと、少しでも長く、過ごせるように、自分自身を律する強い意志と、勇気が欲しい。
(2008.12.7 jive宇都宮[笠原健一])